ルーシーママのスペイン便り

ルーシーは2009年にマドリッドに近い村で生まれたトイプードル、ママはえらい昔、日本に生まれ、長い間スペインに住んでるおばはんです。

命の危機を乗り越えたルーシー、感謝と学び

 

f:id:madredelucy:20200928080100j:plain

今日は、時事とは全く関係ない、ルーシーのことを書きます。

自分の今の気持ちを文字に残しておきたいという思いからです。人生の中には、節目となる出来事がいくつかあると思いますが、この一週間は私にとってそういうものでした。

 

このブログのタイトルになっているルーシーは今年の7月で11歳になったトイプードルで、子供の無い私たち夫婦にとってはある意味娘のような存在と言えるかも知れません。

セゴビアのブリーダーさんからルーシーを譲りうけたのは彼女が生後2か月の頃、2009年の10月。我が家に来てすぐ、白癬菌に感染していることが分かり、注射と内服液で治療しながら、ルーシーが動き回る環境を1日4回、塩素系漂白剤で徹底消毒して、ありがたいことに1カ月半で完治することができました。その後、1歳まではもりもり食べて元気に育ったのに、1歳になったとたん、餌を食べなくなり、それから、「ご飯を食べない子供の親」の苦労を知ることになります。最初のヒート後、避妊手術を受けさせることにしてお願いしたところ、手術直前に獣医さんから連絡が入り 「術前の血液検査の結果、この子は血液凝固に問題があることが判明したので、手術をすることは不可能」 と言われ、手術できずに帰宅。

 

5歳でアジソン病発症。最初は膀胱炎とか腎臓炎とか疑われ、獣医さんが試行錯誤している間にある日ショック状態に陥り、駆け込んだ救急病院でアジソン病と診断され、生死の境を彷徨った末に、危機を乗り越えてくれました。それ以降、新しい獣医さんにお世話になり、体内で生成できない副腎皮質ホルモンを薬で摂りながら、定期的に血液検査をして血中イオンを測定してホルモン剤摂取量を調整するという生活がスタート。

 

8歳でEPI(膵外分泌不全)発症。食べても食べてもどんどん痩せて行き、原因を調べた結果が、膵臓から分泌される消化酵素が出なくなってしまったということを獣医さんが突き止めてくれた時には、栄養失調状態。消化酵素を薬で摂らせ、消化しやすい特殊なドッグフードを与えると同時に、自力で摂れないビタミン類を注射で投与するという生活がスタート。

 

9歳ごろから、ヒートの後に子宮内に水が溜まるようになり、そこから子宮感染症になるリスクを心配するようになりました。獣医さんから、手術で子宮を摘出すれば、年に2回、この危険を恐れる必要がなくなる(この新しい獣医さんは血液凝固の問題は解消されていると説明)と手術を勧められたけれど、アジソンとEPIという持病を持っていて微妙なバランスの上で生きているこの子は、手術自体のリスクが普通の子の何倍もあることから、手術をせずに、年に2回のヒート後、エコグラフィーと血液検査で子宮の様子を観察するという生活がスタート。

 

11歳を迎えた今年7月末、マドリッドでは異常な暑さが続いており、ルーシーも水をがぶがぶ飲み、凄い量のおしっこをし、ぜいぜい言いながら、ぐったりしていましたが、人間同様この暑さのせいだろうと思っていました。8月になって、異常な暑さが去っても、ルーシーの様子が良くならなかったので、念のため、8月14日に獣医さんに診てもらったところ、なんと、糖尿病と診断されました。要は、膵臓の外分泌細胞が機能しなくなるEPIに加えて、膵臓の内分泌細胞も機能しなくなったことでインスリンが生成されなくなったために、食事から得たグルコースが体内の細胞に吸収されず血液中に流れ出てしまう、さらには尿中にも流れ出てしまうということが判明。

獣医さん曰く、「アジソン病の薬はインスリン効果を抑制する。ヒート後の2カ月間くらいは黄体ホルモンが分泌される時期(黄体期)で、黄体ホルモンもインスリン効力を抑制するため、高齢で避妊手術をしていない雌犬は黄体期に一時的に糖尿病の症状が出ることがある。ルーシーの場合、両者の要素が関わっているから、糖尿病はなるべくしてなったともいえる」 とのこと。避妊手術で卵巣と子宮を切除すれば糖尿のリスクも軽減するが、持病が3つ(アジソン、EPI、糖尿病)になってしまったので、手術自体のリスクも術後の合併症のリスクも前よりもさらに大きくなっているとの説明。生死にかかわるリスクを覚悟して避妊手術をして、その後3つの持病をコントロールしながら生活するか、あるいは3つの持病のコントロールに加えて年に2回、子宮蓄膿症という爆弾を抱えて生活するか、という2つの選択肢を前に、私と夫は悩んだ末に後者を選びました。

すぐにエコグラフィーで全身を見てもらい、とりあえずこの時点で子宮蓄膿症の疑いはないということで一安心。即日でインスリン投与開始。毎日、尿の糖度を測り、これが下がると血中糖度を測定しながら、ルーシーに適したインスリンの量を決めて注射する毎日が続きました。

 

ほぼ、安定した状態になったと安心し始めた矢先の9月20日(日)、朝ごはんの後のインスリン注射から30分後、ルーシーが立っては転び立っては転び、歩行できない!Hipoglucemia(低血糖症)の症状です。よりによって獣医さんがお休みの日曜日。アジソン病発見の時にお世話になった24時間対応の救急病院へ飛び込んで、とりあえず血糖値を上げる処置をしてもらい、入院。

 

翌日の月曜日午前中にエコグラフィーを実施した後、病院から入電があり、子宮蓄膿症と診断され、血糖値が急激に低下したのも子宮内の炎症が原因との説明。恐れていた事態が起こってしまった!3つも持病のあるルーシー、手術自体のリスクも大きく、術後のリスクも大きい、でも、手術しなければ死んでしまう。うろたえる私に電話の向こうのドクターが、「今からこっちに来て、直接話しましょう」と言ってくれたので、大急ぎで駆け付け、外科医で執刀医の女医さん、ルシア先生と話しました。選択肢の無い中、不安に押し潰されそうになる私に対して、「アジソン病や糖尿のことは麻酔医としっかり管理しながら、私が最速で手術するから、大丈夫!」 と力強く言ってくれたので、ルシア先生とルーシーを信じて、お願いする覚悟ができました。手術は、翌日、火曜日の朝一番にしてもらうことになり、月曜の夕方は夫と二人でルーシーの大好きなささみ肉を持って面会に行きました。

夫と共に家に戻ると、ルーシーのいない家の中がやけに静かに感じられ、二人とも言葉が少なくなっていました。執刀医の先生を信じ、ルーシーの生命力を信じると決めたけれど、この子の場合リスクは高いと以前からかかりつけの獣医の先生に言われていたので、元気なルーシーにもう二度と会えない時のための覚悟を心のどこかで決めている自分がいました。主人も同じだったと思います。

ややもするとネガティブな方向になだれ込みそうになる心。友人たちからのメッセージがそんな心を励ましてくれました。本当にありがたかったです。また、霊気マスターの友人から心を無にしてルーシーの元へポジティブなエネルギーを送る方法を教えてもらったおかげで、自分でも驚くほど穏やかな気持ちで手術前の一晩をやり過ごすことができました。

 

手術当日、コロナ第二波が酷いマドリッドなので、病院で待つことが許されず、自宅待機。朝の09h30に執刀医のルシア先生から「ルーシーの体調は良好、今から手術始めます。終わったら連絡しますよ」との連絡。いつもどおり掃除や洗濯、花の手入れをしたけれど、やはりどこかでざわつく心。霊気で心を無にすることで、なんとか気持ちを穏やかに保つことができました。10h50にルシア先生から入電、無事に手術を終え、今ルーシーは麻酔から覚め始めているとの連絡。ルシア先生ありがとう!感謝の気持ちでいっぱい。でも、これからがルーシーにとっての本当の闘い。術後の回復と同時に、卵巣と子宮を取ったことでホルモンバランスが変化する中、アジソン病の微妙なバランスを再調節し、糖尿病のインスリンバランスも再調節していかねばならない、すべてはルーシーの生命力にかかっている。内科の担当の先生が夕方に電話でルーシーの様子を教えてくださるけれども、今日は面会はできないとのこと。ルーシーの生命力を信じながら、家で静かに過ごしました。私はサロンのレースのカーテンを一日がかりで縫い上げ、夫は美味しいパエリャを作ってくれました。

 

病院の先生方は朝と夕方、電話でルーシーの状況を教えてくださり、許可が出たので、私は午前と午後に面会に行きました。翌日はまだどこか朦朧としていて足元もおぼつかず、口から食事を摂れなかったルーシー、次の日の朝は前日に私が届けたササミとご飯を食べたと内科の先生から電話で報告があり、即、面会に行きました。散歩させてよいとのことで連れ出したら、なんと自分からどんどん歩いていくではありませんか。7-8分歩いて戻ってくると、先生から今日午後に退院できますよ、言われて、ありがたくて、嬉しくて、泣きそうになりました。

こうして、木曜の夕方、ルーシーは無事に退院することができました。不安で心が折れそうだった時、力強い言葉で覚悟を決めさせてくれた執刀医のルシア先生、その素晴らしい技術と細やかな心遣いに感謝。術前、術後のルーシーのケアを親身になってしてくれたエンリケ先生、エドレイ先生に感謝。退院後の細かな指示を丁寧に説明してくれたイレネ先生、ありがとうございます。

 

我が家に戻って来てくれたルーシー、毎食、チキンと白飯のごはんを完食してくれて、おしっこもうんちもちゃんとしてくれて、夜はよく眠ってくれます。それが本当に嬉しくて、ありがたいです!

家に戻った翌日、朝一番でかかりつけの獣医、ハビエル先生がルーシーを診てくれました。病院での医療情報をチェックしてくれて、今後のアジソン病と糖尿病のコントロールについて指示をしてくれました。特に、卵巣と子宮を取ったことでホルモンなどのバランスが変化しているため、落ち着くまでは注意深く見守る必要があるので、不安なことがあったら週末でもメールで質問していいよ、とのお言葉。本当にありがたいです!

 

f:id:madredelucy:20200928080152j:plain

今は9月27日(日)の夜。晩御飯を完食し、ルーシーは私の横で穏やかに寝息をたてています。

ルーシーが緊急入院してから今日までの一週間、本当にいろんなことがありました。

たくさんの病気をかかえながら、今回も命の危機を乗り越えたルーシー、頑張ったね! ルーシーにはいろんなことを学ばせてもらっているね、ありがとう!

そして、私の周りのたくさんの人たちからいろんな形で力を頂きました。心から感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました!

 

f:id:madredelucy:20200928080219j:plain

おしまい