ルーシーママのスペイン便り

ルーシーは2009年にマドリッドに近い村で生まれたトイプードル、ママはえらい昔、日本に生まれ、長い間スペインに住んでるおばはんです。

2年ぶりの投稿、2023年5月28日スペイン統一地方選

ほぼ2年ぶりの投稿です。

私生活でも仕事でも、本当にいろんなことがあって、自分と向き合ってこのブログを書く気持ちになれないまま、こんなにも長い時間が過ぎてしまいました。

このままではいけない、自分の中にこもっているだけではなく、もう一度、自分の周りの世界に目を向けて、きちんと考えることをしなくてはいけない、と思うようになりました。

なかなかうまくは行きませんが、まず手始めに、2年間のブランクのあとのリハビリ的な感じで、一昨日の日曜日、2023年5月23日にスペイン全土で行われた統一地方選のことを考えてみました。

 

 

  

日本でも4月に統一地方選挙が行われたばかりですが、ここスペインでは、この日曜日、5月28日が4年ぶりの統一地方選でした。

その結果は、予想を大きく覆し、与党(PSOE社会労働党とPodemos Unidos左派革新系政党)が大敗し、最大野党のPP民衆党(保守系)とそれに次ぐ野党Vox(極右)が大きく躍進。これに慄いた政府は月曜の朝一番で、今年の末に予定されていた総選挙(国会議員選)を7月23日に前倒すと発表。

 

 

 

まず、すこし、スペインと日本の地方選の違いを説明させてください。

日本の場合、地方自治体が県であれ市であれ、議会選挙と首長選挙は別々で独立していますよね。ですから、市議会に最多議席を持つ政党と市長が属する政党が同じとは限らないですよね。

スペインの場合は、地方選は4年毎に通常2つの選挙が同時に行われます。スペイン国を構成する17の自治州政府の首長と州議会議員を選ぶ選挙と、スペインに存在する8000を超えるMunicipio(いわゆる市町村ですがここでは便宜上、市と呼びます)の市長と市議会議員と選ぶ選挙です。

いずれも各政党がランキングを付けた候補者リストを作成し、人々は州政府と市政府のそれぞれに自分の指示する政党に投票します。

その結果、各政党が獲得した投票数に応じて、州議会や市議会の議席数が割り当てられ、議席数の過半数を単独政党で獲得すれば、自動的にその党の候補者リスト1番の人が首長となり、議会も過半数獲得するのでその後の州政や市政の運営が容易となります。一方、単独で過半数に行かない場合は複数の政党が交渉して連立政府を樹立し、それらの政党間で話し合い、どの党のリスト1番を首長にするかを交渉して決めます。

 

総選挙(国会議員選挙)もシステムとしては同じで、各政党の候補者リストが作成され、単独で国会議員議席過半数を獲得した政党のリスト1番が首相となります。現在のスペイン中央政府は2019年11月10日に行われた総選挙の結果、社会労働党PSOEが最多数議席を得ましたが過半数に届かず、革新系UnidosPodemosとの連立して組閣したのですが、それでも合計議席数が過半数に達しておらず、法案ごとに他の政党(革新系カタルーニャ独立政党ERCや保守系バスク独立政党PNVなど)のキャスティングボートを交渉で手に入れ、その都度、苦労して国会で法案を通してきました。その間、第一野党の保守系民衆党PPや極左政党Voxがその勢力を伸ばして来ていました。

 

28M と称された今回の統一地方選、4月3日に公示、5月12日~26日の2週間の選挙運動が繰り広げられました。

お金持ちの政党は街灯に立派なポスターを掲示したり、バス停の広告スペースにドーンと広告を打ったりできますが、資金のない政党はビルの壁や店舗のシャッター脇スペースにポスターを貼ったり、日本では考えられない光景も見られます。

 

 

 

 

27日(土)はDia de Reflexion(静かに考える日)と呼ばれて一切の選挙活動禁止。当日、28日(日)はスペイン全国的に雨に見舞われた悪天候でしたが、投票率は63.91%。この数字はスペインとしてはあまり良いものではないようです。

 

5月28日の地方選は、現政府を国民がどのように見ているかを問うものでしたが、その結果は予想を覆し、スペイン全体が保守系へと方向転換している様が浮かび上がった感じです。

スペインでは各政党のシンボルカラーが決まっていて、昔からの2大政党である保守系民衆党PPは青、社会労働党PSOEは赤、ここ数年躍進目覚ましい極右政党Voxは緑、革新系諸政党は水色、その他の地方政党は様々な色。

 

2019年の地方選と今回の地方選の結果を比較した地図とグラフ。

 

この2つの地図を比較すると、2019年は赤いところが多かったのに、今回の2023年度は全体に青い色が多くなっているのが、一目見ただけでも分かります。

 

 

このグラフを見ると、PPとVOXの躍進が顕著です。

 

 

エクストレマドゥーラ、バレアレス、バレンシアラ・リオハアラゴンの6つの自治州で与党がPSOEからPPに交代、

 

スペインで最も人口の多い8都市の内、バルセロナを除く7都市、

マドリッド

バレンシア

セビリア

サラゴサ

マラガ、

ムルシア

パルマ・デ・マヨルカ

は、すべてPPが政権を取ることになりました。

 

それ以外の自治州や市の多くも、PPとVoxが連立することで議席過半数を獲得できることから、スペインの地方政治は一挙に右傾化が進むことは明らか。

 

マドリッドに関しては、マドリッド自治州は前回2021年の選挙、マドリッド市議会は前回2019年の選挙でしたが、いずれも前回の選挙ではPPがVOXとの連立で過半数を獲得していました。ところが、今回は両者ともPPの圧勝、単独で余裕で過半数を占めました。

 

 

 

 

スペイン全土に地殻変動が起きている感じです。

私たち市民の日々の暮らしにどんな変化が起きて行くのか、注目したいと思います。

 

Madre de Lucy