ルーシーママのスペイン便り

ルーシーは2009年にマドリッドに近い村で生まれたトイプードル、ママはえらい昔、日本に生まれ、長い間スペインに住んでるおばはんです。

警戒事態宣言(Estado de Alarma)解除

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今日、5月9日午前零時をもって、昨年10月25日から続いていた「警戒事態宣言(Estado de Alarma)」が解除された。

 

第一回目の警戒事態宣言は2020年3月14日~6月21日まで、3カ月と1週間続いた。

第二回目の警戒事態宣言は2020年10月25日~2021年5月8日まで、6カ月半続いた。

 

2020年6月22日からデスカラダ(Desescalada)と呼ばれる段階的解除策が作られたが、7月8月はみんな気が緩んで、楽しくバケーション。

そのおかげ?で、9月半ばから第2波襲来、10月末に2度目の警戒事態宣言発令。

11月はみんなじっと我慢の子、そしてクリスマスは家族ですごしたいよねーってことで、移動制限緩和。

そしてそのツケがやって来て、1月半ばから巨大な第3波。

コロナ疲れで、新たな防止策もあまり功を奏せず、12月末から始まったワクチン接種はなかなか進まず、第3波が収束しないうちに、第4波。

5月に入ってすこしずつ下降し始めた感はあるが、今日、5月9日の時点で、まだまだ予断を許す状況ではない。

 

 直近7日間、人口10万人当たりの新規感染者数

5月6日のスペインの状況;https://cnecovid.isciii.es/covid19/

一番多いグラナダが154人、マドリッドは95.5人

5月9日の日本の状況(比較対象するため):https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/446261.pdf

一番多い大阪が70.71人

 

5月6日のスペインのコロナの状況(感染者、死者、ICU、ワクチンなど)

https://www.eldiario.es/sociedad/mapa-datos-coronavirus-espana-comunidades-autonomas-mayo-7_1_1039633.html

 

5月6日のスペイン全体のワクチン接種状況

最低1回接種した人:人口の28%

2回以上接種して完了している人:12.6%

 

スペインの場合、中央政府政令によって発出する「警戒事態宣言」とは、大まかな規制事項(夜間外出禁止/移動制限/商業活動の時間制限/会合人数の制限)の枠組みを提供すると同時に、基本的人権に抵触する可能性のある制限事項に法的根拠を与え、違反した場合に罰則を科すための法的強制力を与えるもの。

「警戒事態宣言」を基に、スペイン17自治州の政府は毎週、各自治州の感染状況をスペイン全土で共通の感染指標に基づいて、具体的な規制措置を策定し、実行する権利と義務を有する。

 

5月8日まで有効だった規制措置:ほぼすべての自治州で州をまたぐ移動は禁止(州内の移動しかできなかった)、夜間外出禁止:23h00~06h00(州によって1時間の前倒しや後ろ倒しあり)、飲食店営業時間制限(州によって大きく異なるが、18h00で閉めなければならない州もあれば、最も緩やかなマドリッド州では23h00まで営業可能)や収容制限やワンテーブルの人数制限、会合制限(自宅に人が何人まで来て良いかなど。マドリッドは同居人以外の人が個人宅を訪ねることは禁止されていた/外で会う場合の人数も最大6名までと制限されていた)が実施されていた。

 

5月9日から「警戒事態宣言」が解除された後はどうなるのか?

法的根拠や強制力がなくなるので、各自治州が基本的人権に抵触する制限措置(移動制限、外出制限、会合制限など)を実施するためには、各自治州の上級裁判所に制限措置の「合法性」を認めてもらう必要がある。同じ規制内容でも異なる州の自治州上級裁判所でその判決が異なる場合がある、実際、昨年6月21日の第1回目の警戒宣言解除後にそういうケースが発生し、混乱を招いた。今回もいくつかの自治州政府から、このような混乱を防ぐため、完全にコロナ感染が収束するまで「警戒事態宣言」の延長を求める声があったが、中央政府は延長しないと決定し、「自治州政府が自治州上級裁判所の判決に不服の場合は最高裁判所に控訴することができ、最高裁は5日以内に判決を下すべきこと、また、最高裁の判決はすべての自治州に対して同じでなければならない」という法律を作って急場をしのいだ。つまり、行政の責任を司法に投げちゃった。

 

早速、州によって裁判所の判決が異なるケースが発生。5月9日以降も夜間外出禁止を維持したい意向の3自治州(バレンシア、バレアレス、バスク)だったが、バスク自治州上級裁判所はこれを承認せず、バスク州は5月9日以降の夜間外出は自由となる。バレンシアとバレアレスでは各自治州上級裁判所がこれを認め、5月9日以降も夜間外出禁止が維持される。

 

5月9日午前零時以降の各自治州の規制は以下の記事の通り:

https://elpais.com/sociedad/2021-05-07/el-mapa-de-las-restricciones-en-cada-comunidad-a-partir-del-9-de-mayo-movilidad-libre-en-toda-espana-y-toque-de-queda-en-cuatro-regiones.html?rel=listapoyo

 

 

感染率は下降傾向にはあるものの、医療現場の緊張感はまだまだ高止まりの中、「警戒事態宣言解除」はあくまでも行政上、司法上の問題であり、コロナウイルスにとってはまったく関係ない。

 

しかし、5月9日午前零時をもって、警戒事態宣言は解除され、コロナに疲れていた人々、特に若者は、日付が変わると同時に、大挙して夜の街に繰り出し、群衆と警察が衝突する場面も発生。

https://www.rtve.es/alacarta/videos/telediario/coronavirus-aglomeraciones-fiestas-tras-fin-del-estado-alarma/5898501/

 

この映像を見ると、「Libertad!Libertad!(自由)」と叫ぶ若者たちの気持ちも分かるけれど、ソーシャルディスタンスもマスクもなしに自由を喜び合った結果が数週間後に感染者増加、ICU患者増加、死者増加という形で現れないことを、心から祈る。