ルーシーママのスペイン便り

ルーシーは2009年にマドリッドに近い村で生まれたトイプードル、ママはえらい昔、日本に生まれ、長い間スペインに住んでるおばはんです。

元スペイン国王、ファン・カルロス1世が姿を消した

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(画像は記事内容と全く関係ないのですが、先週、酷暑のマドリッドから逃れて北へ1時間、ラスカフリアという町からトレッキングをした時のもの。涼を取って頂ければ幸い)

 

 

2020年8月3日、元国王ファン・カルロス1世が現国王フェリペ6世に宛てた手紙に自分はスペインを出ると書き残して姿を消したことが公表されました。1週間が過ぎた今も、行き先に関しては一切明かされまていません。

 

1983年に私がスペインに来た頃、スペイン王室は国民に愛されているというなぁ、という印象を受けました。1981年に起こった23Fのクーデターを見事に収めて国王としての信頼を国民から得ていた国王ファン・カルロス1世、女好きが玉に瑕の王様を寛容に見守る良妻賢母のソフィア王妃、金髪の可愛らしい少年フェリペ皇太子、そして控えめな二人の王女(エレナ王女とクリスティーナ王女)。ファン・カルロス1世はお忍びで出かけて庶民の暮らしに触れるのが好きだと噂されるほど、庶民は国王に親近感を抱いていました。

2004年にフェリペ皇太子が結婚、レティシア妃との間に二人の王女が生まれ、スペイン王室は順風満帆に見えましたが、2006年にクリスティーナ王女の夫であるウルダンガリン氏の汚職収賄容疑が発覚、2010年には裁判(ノオス事件裁判)が始まり、王女も加担した容疑で捜査され、2009年にはクリスティーナ王女一家はメディアを避けるため米国ワシントンに移住。2018年に裁判が結審、ウルダンガリン氏は禁固5年10カ月の実刑、クリスティーナ王女は137,000ユーロの罰金刑に処されました。

そして2012年、ファン・カルロス1世が秘密裏に象狩りに出かけたボツワナで怪我をしたことで、コリーナ・ラーセンとの関係が明るみに出てしまい、国民にとって国王のイメージが一挙に悪くなり、王室そのものへの信頼も落ちてしまいました。

事態をなんとか収拾するため、ファン・カルロス1世は2014年に生前退位という選択をするに至りましたが、ことはそれだけでは済みませんでした。

2018年7月にスペインのあるメディアがリークした、コリーナ・ラーセンと元警察官のビジャレホの会話の録音が凄まじい反響を引き起こします(会話自体は2015年に録音されたもの)。第一の驚きはファン・カルロス1世の元愛人が録音された会話の中でファン・カルロス1世の違法な活動を暴露していること。第二の驚きは会談の相手が社会のドブを漁って生きていると言われているビジャレホであること。同氏は警察官だった時代に歴代政府の依頼でいわゆる「汚い仕事」を請け負ってきましたが、そういう活動の中やそこで得た特権を利用して司法、行政、立法など様々な分野の要人と会話を持った際、本来なら守秘義務を負うはずのそのような会話を違法に録音して保存し、それらの録音データを利用して金銭的あるいは社会・政治・司法的な利益を得ていた人物で、いくつもの容疑がかけられていました。2017年11月3日、全国管区裁判所のラメラ判事は証拠が固まったとして逮捕・拘留に踏み切り、現在もビジャレホは拘留されています。ビジャレホによる個人情報の違法収集やそれを利用した買収などの容疑は多数存在し、それら一連の犯罪捜査全体は「ビジャレホ事件」と呼ばれ、その中にピースと呼ばれる具体的な事件があります。コリーナ・ラーセンとの会話の録音の件は「キャロル」ピースと呼ばれ2018年に録音がリークされた時点で全国管区裁判所で立件かと思われましたが、当時の判事は証拠不十分として棄却。ところがこの録音内容を知ったジュネーブ検察がスイス国内における資金洗浄の容疑で秘密裏に捜査を開始していました。

これだけで終わりません。

2020年3月3日、スペイン最大のエル・パイス紙が「6500万ユーロがファン・カルロス1世からコリーナ・ラーセンに寄付されていた」ことをスクープ。

2020年3月14日、同エル・パイス紙が「ファン・カルロス1世が Zagatka財団の受益者となっている」ことをスクープ。同日、The Telegraph紙が「フェリペ6世が Lucum財団の第2受益者となっている」ことをスクープ。

翌3月15日 、これらメディアのスクープを受けて、現国王フェリペ6世が断行したのが、ファン・カルロス1世に支給されている年間25万ユーロの手当の廃止と、ファン・カルロス1世が海外に所有する一切の資産に対する遺産相続権の放棄でした。

2020年6月8日、スペイン最高裁検察(Fiscalia del Tribunal Supremo)がメッカAVE建設をスペイン企業が落札した際のコミッション支払いにファン・カルロス1世が何らかの関与をしていたかを現在捜査していると発表。加えてスイスのジュネーブ検察が同コミッションへの関与でファン・カルロス1世を捜査していると共に、コリーナ・ラーセン、FasanaとCanonicaを資金洗浄の容疑で捜査していることも公表しました。

2020年7月27日 全国管区裁判所(Audiencia Nacional)のガルシア・カステリョン 判事は、2018年に一旦棄却されていた、ビジャレホがコリーナ・ラーセンとの会話を録音した事件「キャロル」ピースの捜査再開を決定しました。

同時に、ジュネーブ検察の協力で捜査を進めていたスペインの汚職収賄検察(Fiscalia Anticorrupcion)では、ファン・カルロス1世の不可侵権のため、脱税と資金洗浄容疑の捜査を最高裁(Tribunal Supremo)に引き渡した旨が公表されました。

この状況を受け、スペイン国民の王室への不信はさらに大きくなっていき、共和制を求める声も聞かれるようになる中、社会的にも司法的にも追い詰められていったファン・カルロス1世は、現国王フェリペ6世とその王室を守るために自ら姿を消したのかも知れません。

でも、真実は誰にも分りません。

 

経緯が非常に複雑なので、以下、時系列に整理してみました。長くなりますが、よろしければご覧ください。

近いうちに、コリーナ・ラーセンとビジャレホに関する記事もアップできればと思います。

 

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2004 スペイン国内にあるウェストミンスター侯爵領、ラ・ガルガンタで行われて狩猟イベントでファン・カルロス1世とコリーナ・ラーセンが知り合う。以後、コリーナはファン・カルロス1世のアシスタントのような存在となる。フェリペ6世とレティシア妃の新婚旅行の立案と手配を依頼される。クリスティーナ王女の夫、ウルダンガリン氏の就職斡旋を依頼される。

2006年 ファン・カルロス1世公式訪問の際、シュツットガルト空港でファン・カルロス1世の後ろを歩いたが、これは通常王妃以外はできない行動。

2006年 メッカのAVE入札開始数カ月前、サウジアラビアへファン・カルロス1世に同行。武器商人カショギ元夫人も一緒。

2008年8月8 ジュネーブミラボー銀行のLucum財団の口座にサウジアラビア財務省から1億ドル(6500万ユーロ相当)の送金。

2010年―2014年 ( 4年間)、エル・パルドの森の中にある館、ラ・アンゴリージャ(国王が住むサルスエラ宮から20㎞の距離)がコリーナとその息子アレクサンダーの住まいとなり、CNI、国家警察、治安警察などが警備を担当。

2010年にファン・カルロス1世が肺の腫瘍手術の後、コリーナ・ラーセンがそのの介護をする。回復後、コリーナはドイツ、アフリカ、モナコなどなど、常にファン・カルロス1世に同行。

 

2012年4月13 ボツワナで行われていた象狩りのキャンプでファン・カルロス1世は夜間に転倒し大腿骨関節を損傷、急遽スペインへ帰国し緊急手術を受ける。

★この事故でコリーナ・ラーセンの存在が公となる。狩猟キャンプにファン・カルロス1世はコリーナ・ラーセンとその長男と一緒に参加しており、元夫でコリーナ・ラーセンの長女の父であるアドキンス氏も参加していた。スペイン国民が未曽有の経済危機に苦しむ中、象狩りという倫理的にも非難されるべきイベントにプライベートジェットを使ってコリーナ・ラーセン親子と共に参加していたことが世界中のメディアに報道され、スペイン国内で非難の声が上がり、コリーナ・ラーセンとは何者かという疑惑が声高に言われるようになる。世論の非難の中、手術後に退院したファン・カルロス1世は、国王自らが4月18日にメディアを通して国民に謝罪するという前代未聞の対応を強いられる。「Lo siento mucho. Me he equivocado y no volvera a ocurrir(非常に遺憾である。私は間違いを犯した、同じ間違いは二度と起こさない)」と。内外のメディアでも「スペインには二人の王妃がいる、1962年に結婚した公式王妃ソフィアと、4年前から愛人となっている事実上の王妃コリーナだ」などと報道される。

★このように世界のメディアでファン・カルロス1世とコリーナ・ラーセンの存在が取りざたされたことを受けて、スイスのミラボー銀行はファン・カルロス1世が持つ Lucum財団の口座の閉鎖を決定し、ファン・カルロス1世に通達。ファン・カルロス1世は口座のお金を他の場所に移す画策を始める。

 

2012年 6月 バハマの銀行にあるコリーナ・ラーセンの口座に6500万ユーロが入金される。

コリーナ・ラーセンは2018年12月19日にジュネーブの検察に対してこの入金を「私に対するファン・カルロス1世の愛情と感謝の気持ちと、私との関係修復のため」と証言している。一方、2015年にビジャレホが録音した会話では「ファン・カルロス1世がスイスの口座に膨大な資産を持っていたが、口座閉鎖に伴いその資金洗浄のために自分を利用した」としている。言っていることが全く違っている。

 

2012年6 スペイン王家周辺ではそれまでコリーナ・ラーセンの存在を公には無視し続けて来たが、メディアで国王とコリーナ・ラーセンの関係が報道されると、CNI(国家情報機関)のフェリックス・サンス・ロルダン長官自らがコリーナ・ラーセンのロンドン宅を訪ね「ファン・カルロス1世の肩には4千5百万のスペイン国民の運命がかかっているので、分別ある行動をするように」と忠告。コリーナはこれを脅迫と受け取ったと、2015年に行ったビジャレホとの会話の中で説明している。

 

ゴシップ報道などによるとこの時までファン・カルロス1世は余生をコリーナ・ラーセンと過ごしたいと思い、ソフィア王妃との離婚を望んでいたと言われるが、象狩りでの怪我ですべてが明るみに出てしまい、周囲からも反対され、国民からも非難の声が上がる中、それを諦めたらしい。これを不服としたコリーナ・ラーセンが反撃に出た結果が、ビジャレホとの会談やその会話の録音のリークにつながるのではないかとも言われる。

 

2014年6月19日 ファン・カルロス1世が生前退位を決断( 即位期間;1975.11.22-2014.6.19)様々なスキャンダルが取りざたされ、王室自体の存続が危うくなる中、息子のフェリペ6世に国王の座を譲ることで、王室のイメージの浄化を図るため。

 

2015年6 新国王フェリペ6は、妹クリスティーナ王女とその夫ウルダンガリン氏に対し(ノオス事件裁判においてウルダンガリン氏は被告、クリスティーナ王女も捜査対象となっていた)、彼らに与えられていたパルマ公爵の称号を剥奪。

 

2015年 コリーナ・ラーセンはロンドンの自宅にて、企業家ファン・ビジャロンガの紹介で、元警察官 ビジャレホと会談。この会話をビジャレホが録音していた。

3年後の2018年7にこの録音内容がスペインのメディアにリークされる

リークされた録音の中でコリーナ・ラーセンが言っている主な内容:

* ファン・カルロス1世はスイスに膨大な資金を持っており、Zagatka財団を通じてAlvaro de Orleansが国王の利用するプライベートジェットの費用を支払っている。

* Alvaro de Orleansはスイスにおいてファン・カルロス1世のダミー名義人である(本人はこれを否定している)。

* ファン・カルロス1世 はマラケシュに土地を所有している。

* ファン・カルロス1世 はメッカのAVEプロジェクトのコミッションを受け取り、それをスイスの口座に持っている。

* ノオス事件:クリスティーナ王女の夫、ウルダンガリン氏がその地位を利用して様々なプロジェクトで不当な手数料を受け取り、その資産をタックスヘブンで資金洗浄したことが捜査された裁判。裁判で有罪とされたウルダンガリン氏は現在服役中。この事件において、不法なコミッションを要求したのはファン・カルロス1世自身だった。

* 2012年6月、スペインのCNI長官自らがロンドン宅まで来て、自分は脅迫された。自分も息子も身の危険を感じた。

 

2018年6月 ノオス事件裁判が結審し、ウルダンガリン氏は禁固刑に服役。クリスティーナ王女は罰金刑。

 

2018年夏:7月にリークされたビジャレホの録音内容からスイス国内における資金洗浄の容疑が浮上したことを受け、ジュネーブの検察官Yves Bertossa氏が録音の中で言及されている以下3名に対する捜査を開始

Alvaro de Orleans (Zagatka財団のオーナー) : 財団を介してスイス国内での資金洗浄の疑い。

Arturo Fasana (投資ファンド会社 Rhône Gestionの投資アドバイザ / Zagatka財団と Lucum財団の社外アドバイザ) : 資金洗浄への加担の容疑で事務所を家宅捜索される。同氏はスペインの他の収賄・脱税裁判の主たる容疑者(グルテル事件のフランシスコ・コレアやプジョル一族)の資金運用アドバイザでもあり、それらの裁判でも捜査を受けている。

Dante Canónica (弁護士/ Zagatka財団と Lucum財団の理事):資金洗浄への加担の容疑。

 

2018年9月7:ビジャレホの録音内容からスペイン国内でも全国管区裁判所(Audiencia Nacional)での立件が求められたが、棄却される

担当のディエゴ・デ・エヘア判事は、録音内容は証拠として不十分(口頭にみで証拠書類が一切ない)であるという理由と録音で話されている出来事が起こった2011年にはファン・カルロス1世は国王だったので不可侵権が適用されるという2つの理由から、裁判を棄却し、ファン・カルロス1世がスイスに持っている口座に関する捜査の必要はないと決定した。

*この時点でビジャレホは複数の裁判の予審の被告として拘束されていた。

全国管区裁判所(Audiencia Nacional判事は棄却したが、日本の特捜に相当する汚職収賄検察(Fiscalia AnticorrupcionはメッカのAVE建造の65億ユーロという巨大プロジェクトをスペイン企業が落札した背景を調査すると宣言。

 

2018年9月 ジュネーブにおいて Yves Bertossa検察官による捜査が続行

* Rhône Gestion社 (Arturo Fasana)のPCの中からパナマにあるLecum財団に関する情報が見つかるり、第一受益者は ファン・カルロス1世 そして第2受益者はフェリペ6世と記載されていることが判明。

* Lecum財団名義の口座がスイスのミラボー銀行にあり、口座名義人の住所はマドリッドにあるサルスエラ宮殿となっていることが判明。

ミラボー銀行への捜査が入る。Lucum財団の口座に2008年8月8日にサウジアラビア経済省から1億ドル(6500万ユーロ相当)の入金があったことが判明。当時、同銀行はこの巨額の海外からの送金の明細を一切記録しておらず、当時の頭取も一切の質問無しでこの入金を受け入れていたことがわかる。

* Lucum財団の社外アドバイザのFasana氏は「サウジアラビア国王からスペイン国王への贈り物」だったと説明しているが、Bertossa検事は「6500万ユーロは、AVE入札においてスペイン側コンソーシアムの提示額をファン・カルロス1世の介入によって当初の提示額から29.6%下げてもらったことに対する手数料としてサウジアラビア政府から払われたもの」と疑っている。

コリーナ・ラーセンは2015年にビジャレホに話した内容と全く逆の証言をしていおり、6500万ユーロはコミッションではなくサウジ政府からの寄付だったと説明。コリーナ・ラーセンの弁護団は「AVE最終落札判明は2009年10月で、65 millones de eurosが口座に送金されたのは2008年8月。落札決定前にコミッションを支払うはずがない」と主張している。

* 6500万ユーロは、コリーナ、Fasana、Canónicaが関わって、ミラボー銀行の口座閉鎖後、最終的には2012年6月にバハマのナッソーにあるGonet & Cie 銀行の提携銀行にあるコリーナの口座に入金されたことが判明。

*Lucum財団はZagatka財団と全く同じで、Fasanaが外部アドバイザ、Canónicaが理事を務めていることが判明。

 

 

2018年10月-12 ジュネーブにおいて Yves Bertossa検察官によって以下の者が資金洗浄の容疑で複数回召喚され証言を求められる。

Alvaro de Orleans (証人として)

コリーナ・ラーセン (容疑者として):

*「2012年6月バハマの銀行口座に振り込まれた6500万ユーロは、私に対するファン・カルロス1世の愛情と感謝の気持ちと、私との関係修復のため」と検事に対して証言する。これは2015年にビジャレホに話した内容と全く異なる。

* ロンドンとスイスに所有する邸宅は自分のものあり、当初ファン・カルロス1世が貸してくれたお金はすべて返済済みであると主張。これも2015年ビジャレホに話した内容と全く異なる。

マラケシュにある土地はモロッコ国王モハメド6世が彼女にプレゼントしたもので、ファン・カルロス1世とは全く関係ないと証言。これも2015年ビジャレホに話した内容と全く異なる。

Arturo Fasana (容疑者として):2010年に160万ユーロの現金の入ったトランクを持ってジュネーブ郊外の自宅にファン・カルロス1世が訪ねて来た。バーレーン国王からのプレゼントだというこの現金を、ミラボー銀行の口座に入金した(当時は銀行側も何も言わず入金してくれた)と証言。

Dante Canónica (容疑者として);Lucum財団の理事である自分はサルスエラ宮のファン・カルロス1世に現金を渡すためたびたびマドリッドを訪ねた、と証言。

ミラボー銀行代表 (容疑者として)

 

 

2019年3月5日、コリーナ・ラーセンの弁護団スペイン王室庁責任者、ハイメ・アルフォンシン宛に書簡を送付。

文中には「Lucum財団の存在とファン・カルロス1世死後の受益者として国王フェリペ6世の名前が記されていること」が書かれており、王室はこれを脅迫と受け取り、フェリペ6世は即刻、公証人立ち合いの下でこの受益者権利の放棄を表明。

 

2020年3月3日、スペイン最大のエル・パイス紙が「6500万ユーロがファン・カルロス1世からコリーナ・ラーセンに寄付されていた」とスクープ。

2020年3月14日、同エル・パイス紙が「ファン・カルロス1世が Zagatka財団の受益者となっている」とスクープ。

同日、The Telegraph紙が「フェリペ6世が Lucum財団の第2受益者となっている」とスクープ。

 

2020年3月15日、 これらメディアのスクープを受けて、フェリペ6世が決断。

* ファン・カルロス1世に支給されていた年間25万ユーロの手当を廃止。

* ファン・カルロス1世が海外に所有する一切の資産に対する遺産相続権を放棄。

 

2020年6月8日 最高裁検察(Fiscalia del Tribunal Supremo)がメッカAVE建設をスペイン企業が落札した際のコミッション支払いにファン・カルロス1世が何らかの関与していたかを現在捜査していると発表。同時にスイスのジュネーブ県の検察が同コミッションへの関与でファン・カルロス1世を調査していると共に、コリーナ・ラーセン, Fasana, Canonicaをマネーロンダリングの疑いで捜査していると公表。

 

2020年8月 汚職収賄検察(Fiscalia Anticorrupcionではジュネーブ検察の協力で捜査を進めていたが、ファン・カルロス1世の不可侵権のため、脱税と資金洗浄容疑の捜査を最高裁Tribunal Supremo)に引き渡したと発表。

 

2020年7月27日 全国管区裁判所(Audiencia Nacional)にて、2018年に一旦棄却された捜査の再開を決定。

同裁判所のガルシア・カステリョン判事は、2018年に一旦棄却されていたビジャレホがコリーナ・ラーセンとの会話を録音した事件、「キャロル」ピースと称される、に関する捜査の再開を決定する。これはビジャレホによる個人情報の違法収集やそれを利用した買収などの一連の犯罪捜査、ビジャレホ事件の中のひとつ。判事が追及するのは:コリーナ・ラーセンがビジャレホに依頼して、スペインにおける自分のアシスタントの個人情報を入手しようとしていることの立証だが、捜査の中で新たな犯罪が発覚することも予測される。新たに見つかった録音の中で、コリーナ・ラーセンはこのアシスタントによって自分の個人情報や活動内容が漏洩されているのではないかと恐れていて、それに対してVillajejoは自分なら様々な手段を使って(違法も含め)、対価と引き換えにどんなサービスでも提供できると説明している。

 

2020年8月3日 ファン・カルロス1世はフェリペ6世宛に手紙を残して、スペインを出国、行き先は公表されていない。

 

2020年9月7日と8日 全国管区裁判所のガルシア・カステリョン予審判事はビジャレホとコリーナ・ラーセンを容疑者として召喚している。また、録音に現れる別の2名の人物、ファン・ビジャロンガとラファエル・ロルダンも同時に召喚している。

 

今後、最高裁におけるコミッション受け取りと資金洗浄に関する裁判、および全国管区裁判所における個人情報の違法利用や買収などに関する裁判が同時進行することになる。

 

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おしまい