ルーシーママのスペイン便り

ルーシーは2009年にマドリッドに近い村で生まれたトイプードル、ママはえらい昔、日本に生まれ、長い間スペインに住んでるおばはんです。

コロナ第二派真っ只中のスペイン、半年ぶりの学校再開で問題が山積

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マドリッドスカイライン

 

朝起きて、ネットニュースを見るとき、まず直近24時間のコロナ感染者数、死亡者数をチェックする習慣がついてしまった。

今日の状況はこれ:https://www.rtve.es/noticias/20200906/mapa-del-coronavirus-espana/2004681.shtml

最初のグラフ、Evolución del coronavirus en España のスクロールダウンメニューで以下のそれぞれを選んで見ると状況の推移が視覚的に分かる。

*Casos 24 h(直近24時間の新たな感染者数)

*Hospitalizados 7 dias(直近7日間の入院患者数)

UCI 7 dias(直近7日間のICU患者数)

*Muertes 7 dias(直近7日間の死亡者数)

どれをとっても8月半ばからずっと増え続けていて、未だピークに達していないことが分かる。

 

そんな中、スペインでは地域によって若干の違いはあるものの、明日9月7日の週から新学期が始まる。

3月半ばからのコロナ休校を余儀なくされていた子供たちにとってはほぼ半年ぶりの学校再開は待ち遠しいことだろう。オンライン授業の採用は不可欠であるが、やはり教育の基礎は子供たちが学校へ行き、教室で他の子供たちや先生と一緒に学ぶ授業が大切である、という点ではスペイン政府も各自治州政府も一致している。一方で、幼稚園・小学校などに通う子供を持つ父兄はこの新学期開始を不安な気持ちで見守っている。

 

コロナ禍とはいえ、8月は夏休み。国会も閉会、政府も首相をはじめ大臣たちも夏休みだったが、大臣たちが夏休みから戻った8月24日から大急ぎで新学期の学校再開へ向けた準備が始まった。

スペインでは中央政府の立てた指針に基づいて、学校再開にあたっての具体的なコロナ対策の策定と運営は各自治州政府の責任の下で行われる。また、公立学校の場合、各校の具体的対策は、学校が属する市町村政府の指示に従う。各市町村政府は自治州の策定する指針に基づいて各学校に適した対応策を練り、実践する。

8月後半、中央政府と17ある自治州政府の間で話し合いが行われ、前述のピラミッド指揮系統にそって策定されたガイドラインに従って各学校で新学期に向けた準備が大急ぎで進められて来た。

マスク着用をはじめとする生徒への衛生教育はもちろんのこと、校内における生徒の導線確保、消毒用アルコール設置、手洗い場の確保、徹底した清掃と消毒のためのスタッフ確保、給食を提供する食堂もコロナ予防プロトコールに沿って大幅にシステム変更。ソーシャルディスタンスを確保するため1クラスの人数を従来の半分以下にする、そのために校内を改装して教室を増やす、教師の数を増やす、それが不可の場合はクラスを二つに分けて、登校授業とオンライン授業の隔日性にする、換気をよくするため空調施設を改装する、教師陣のPCR検査を行う、などなど。完璧に準備万端で学校再開とはいかないところがたくさんあるようだ。

そんな中、父兄にとって一番の悩みは 「クラスに感染した生徒が出た場合」の対応だ。感染の疑いがある場合、そのクラスの生徒全員にPCR検査が実施され、陽性が出た生徒はもちろん、陰性が出た生徒も14日間は自宅隔離となる。ひとりで自宅に置いておけない年齢の子供を持つ親はどうなるか。陽性の子供の場合、仕事を持つ親は最大14日間まで職場において時短あるいは休暇を申請可能で、時短分および休暇日は該当する法律に基づいたパーセンテージでの給与支払いの対象となる。しかし、陰性で自宅隔離を命じられる子供に関しては前述の措置が適用されるか否か現時点では不明。現在のスペイン中央政府は革新系連立政権だが、政府内部でも首相をはじめとする社会労働党系の大臣と、革新左派Unidas Podemos党系の大臣の間でこの点に関する見解の相違がある。来週、労・使・政府の3者会議にてこの点を明確にするための話し合いが予定されているが、新たな法律改正が行われない場合、陰性の子供の親に適用されるのは、今年3月に施行された、通称“Me Cuida”と呼ばれる法律にもとづくことになり、会社側と話し合って時短や休暇を取ることはできるが給与支払いの対象とはならない。また、職種や職場によっては、時短や休暇を取ることが難しく、その場合、親は「テストは陰性だがコロナ感染の可能性のある子ども」を自宅で世話してくれるヘルパーを探すことになる。それが非常に難しいため多くの親の悩みの種となっている。

 

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おしまい