ルーシーママのスペイン便り

ルーシーは2009年にマドリッドに近い村で生まれたトイプードル、ママはえらい昔、日本に生まれ、長い間スペインに住んでるおばはんです。

2020年、コロナとの闘い(全5回の3)

こんにちは。

別に開設しているウェブページ(https://www.michiko18.com/)内のブログに5回に分けて書いたものをここでも5回に分けてアップしています。これは3回目の記事となります。

スペインに生きる私たちが、3月から7月までたどった記録として見て頂ければ幸いです。

 

3.コロナとの闘い – 3 -(2020年4月7日)

 

外出禁止期間延長とセマナ・サンタ

今日は4月7日(火)警戒事態(Estado de alarma)が発令され、3月15日に外出禁止になってから24日目です。3月30日からは、経済に甚大なダメージを与えるとの反対を押し切って、政令によって建設業、製造業などテレワークが不可能で市民生活維持に不可欠ではない活動も停止されました。

3月10日ころから爆発的な感染者増加が始まり、毎日の感染者と死者の増加数を表すグラフはずっと急カーブを描いてきましたが、これら政策の甲斐あってか、ここ数日その曲線がすこーし緩やかになり始めたようです。とはいっても、COVID19感染者数はアメリカに次いで世界で2番目、死亡者数はイタリアに次いで世界で2番目に多いという酷い状況に変わりはありません。

現時点の統計:世界とスペインのデータ

https://elpais.com/sociedad/2020/03/30/actualidad/1585589827_546714.html

今週はセマナ・サンタ(イースター)。コロナ禍がなかったなら、今頃スペイン中は、イエス・キリストの受難を表す様々な山車を信者たちが担いで街中を練り歩くプロセションで賑わっていたはず。でも今、人々は外出禁止令を守って自宅に籠り、どこの街も閑散としています。とても現実とは思えません。とくに眠る時間を知らないと言われるほど、毎日様々なプロセションが各教会から大聖堂へと練り歩き、人々で街が埋め尽くされるセビーリャは、ひとっこひとりいない大聖堂の姿がまるでシュールレアリスムの絵画にさえ思えてきます。
 

そんな中、4月4日(土)夜にサンチェス首相が警戒事態(Estado de Alarma)を4月26日までさらに2週間延長すると発表、今週中に国会で承認される模様です。

長いトンネルがまた長くなった気がしますが、じっと我慢している国民にとっては、感染者・死亡者・重篤患者数の漸減という微かな光が見え始めたこのタイミングでの延長の発表は折れそうになる心をなんとか持ちこたえさせてくれたのかも知れません。

https://www.rtve.es/noticias/20200404/gobierno-prorroga-estado-alarma-hasta-26-abril/2011417.shtml

 
 

市場は戦場、感染防護用品の争奪戦

前回、- 2 – では医療の現場で奮闘してくれている人たちの悲鳴について触れました。本来、しっかりと自らを防護して感染者の治療に当たるべき医師や看護師の方々が、マスク、手袋、防護服などの不足によって思うように治療に専念できないだけでなく、自らの健康と命を危険に晒さざるを得なかったり、あるいはICU病床や人工呼吸器の不足で本来なら受けられる治療を受けられずに亡くなる方がいる状況を前に、中央政府自治州政府が連携して行うはずの必要物資の供給や配分という最も重要なことができていないことに腹立ちと悲しさを禁じえなかったからです。このカオスはまず、イタリアとスペインで起こり、次にフランス、そして今イギリスやアメリカでも起こっているようですが、その背景には感染症治療に必要な資材の争奪という「戦場」があったようです。

スペイン中央政府マドリッドなどの自治州政府が仲買業者を介して中国で買い付けた防護用品や人工呼吸器がいつまでたってもスペインに届かず、医療の現場が逼迫している中、その内情を訴えるメディアの様々な情報が交錯しました。どれが真実か、知る術もありませんが、いくつかの記事を挙げて見ます。

 

https://elpais.com/sociedad/2020-04-02/la-guerra-de-las-mascarillas-enfrenta-a-europa-y-eeuu.html

イタリアとスペイン発注したものを中国からの空輸経由地においてフランスやイギリス政府によって没収された。一方、フランスやイギリスが中国本土で買い付けたものを空港で輸送機に積み込んでいる時にキャッシュを持って現れた米国の買い付け人が横取りした。

 

https://www.elmundo.es/espana/2020/04/03/5e862ebd21efa06d7c8b461f.html

スペイン中央政府と複数の自治州政府が購入した数百個の人工呼吸器(スペインが中国から部品を調達してトルコで生産したもの)を空輸すべく積み込んだところをトルコ政府が自国内で使用するために没収した。

 

https://www.lavanguardia.com/internacional/20200407/48374758202/coronavirus-reino-unido-encargo-millones-test-anticuerpos-no-validos.html

スペインが中国で購入したPCRテストを使い始めたところ精度が低すぎて役に立たなかった。またイギリスが中国で購入した抗体検査キットも精度が低すぎて利用できないものだった。

 

国内で自給への転換

こういう「戦場」での苦い経験をもとに、各国はこれら必需品を自国内で調達する術を探し始めました。スペインも官民総出でとにかく医療現場が必要とするものを一刻も早く作って届けるべく、総力を結集。衣類や靴類の縫製工場でマスクや防護服の製造を始めました。そしてこらからも増え続ける多数のマスクの供給に対応すべく、昨日、スペイン政府厚生省がバスク地方モンドランゴンのBexen Medical と契約を結び、生産を開始。毎月1千万個、6カ月間で6千万個のマスク生産を依頼した模様。

https://www.eleconomista.es/empresas-finanzas/noticias/10466845/04/20/Una-cooperativa-de-Mondragon-producira-60-millones-de-mascarillas.html

 

一方、スペインの自動車メーカー、セアト(Seat)はカタルーニャ州のマルトレル工場にて人口呼吸器の生産を開始。スペイン政府の要請に応え、セアト・レオンの製造ラインを急遽改造、異例のスピードで厚生省の認可が下り、今週から早速製造開始。24時間体制で毎日300個の人工呼吸器を生産できるとのこと。

https://www.economiadigital.es/politica-y-sociedad/seat-homologacion-respirador-arranca-produccion-coronavirus_20050506_102.html

 

このように、野党や国民からの批判や不満はもちろんあるものの、中央政府や各自治州政府は試行錯誤をしながらコロナ禍と戦っています。医療現場の人たち、ライフラインをや物流を支えてくれている人たちの努力があります。そして家に籠って外に出ないことで感染させない、しない努力をする国民がいます。まだまだトンネルは続きますが、わずかな光を心の支えにして、みんなで乗り越えましょう!

 

余談ですが、今日、日本では7都府県で非常事態宣言発令されましたね。安倍首相の会見をネットで見ました。GDPの20%になる財政出動(現金支給+社会保険料と税金の支払い猶予など)を言明。非常事態宣言を発することで、「都市封鎖は行わず、交通機関やスーパーなどはそのまま営業を続け、経済活動を維持しながら自粛によって3密を防ぐという日本独自のやり方を強化徹底することで感染拡大を防ぐ」という趣旨。

世界の中でコロナ感染の現象においても「ほかの国とは違う」日本において、安倍さんとそのブレーンが考える、医療崩壊させず、経済活動をできる限り維持しながら、感染拡大を防ぐという「日本独自のやり方」。これを他の国でやろうとすると非常に難しいと思いますが、今まで幾多の災害に見舞われてもそれに耐えて来た日本の人たちなら、その責任感と高い意識でこの危機を乗り越えられると信じたいです! 頑張れ、日本!

 

今、午後8時になって、いつものようにテラスに出て拍手をしようとしたら、朝からずっと小雨だったのに、西の空から晴れて来て、東の空に虹が、それも二重に架かっていました。なんかとっても嬉しくなりました。

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挿入した写真は、今年は直接見られませんが、この時期に見られるはずの草木たち。
 

** ここまでが別ブログのコロナ関連3回目の記事です **