ルーシーママのスペイン便り

ルーシーは2009年にマドリッドに近い村で生まれたトイプードル、ママはえらい昔、日本に生まれ、長い間スペインに住んでるおばはんです。

エボラ対策特別委員会のHP

突然の復帰・・・
1年4ヶ月ぶりでしょうか・・・
書きたいことは一杯あるのですが、記事の整理、画像の整理、遅々として進まないうちに時間だけが・・・

とりあえず、今一番注目されていること、気になること、記事にしたので、UPいたします。


エボラ対策特別委員会とそのHP

スペインへアフリカでエボラに感染した患者がEUで初めて移送されてきたのが8月頭、その後2件目の同様の移送が9月末。移送された2件の患者が亡くなった後、10月6日にスペイン初(EU初)の2次感染者が確認され、国内は騒然とし、EUを始め全世界がスペインを注目する中、スペイン中央政府厚生大臣もエボラ感染患者を収容しているマドリッの自治州政府厚生省大臣も事態の把握ときちんとした情報提供ができないまま、メディアからの情報が先行して国民は不安を抱き、患者やその家族は不当な糾弾を受け、諸外国からはスペイン行政に対する不信感が募るという状況が続いていました。

この事態を打開すべく、10月13日にスペイン中央政府副首相Sainz de Santa Maria氏を総統括責任者とする「エボラ対策特別委員会」が設置されました。一般国民に対する解りやすい形での情報提供(それまで厚生省のHPに入ってメールで問い合わせる形での情報提供から、Web上でリアルタイムの最新情報提供の形へ移行)の他、医療関係者に対する最新プロトコール情報の提供、医療関係者に対してエボラ感染者に対する医療行為を行うために必要な知識と技術を得るための研修コースなど提供などが開始されました。

実際にこのエボラ対策特別委員会 (El Comité Especial de la gestión del ébola) のHPに入って提供されている情報を読んでみると、一般国民が知りたいと思うエボラに関する基礎情報がきちんとした形で説明されており、スペイン国内における現時点でのエボラ感染状況がリアルタイムで更新されているほか、全世界での感染状況も画像入りで簡潔に説明されているなど、とても優れた内容になっています。
私自身、このHPを読んで、知識や情報の欠如ゆえに今まで感じていた漠然とした不安が消え去ったのを実感しています。

なので、スペインに住んでいる人だけでなく、日本の方にも是非、知って頂きたく、HPのURLを貼り付けると同時に、内容の日本語訳を簡単に作成してみました。


エボラ対策特別委員会 (El Comité Especial de la gestión del ébola)のHP
http://infoebola.gob.es/2014/10/12/que-es-el-ebola/

エボラとは?  ¿ Qué es el Ébola ?
http://infoebola.gob.es/2014/10/12/que-es-el-ebola/

エボラウイルスによって起こる出血、発熱を伴う感染症で人間および一部の霊長類のみが発症する。
その他の動物はウィルス保有することはあるが発症しない。
エボラが発症した場合の死亡率は高いが、感染リスクは低い。
現在までに確認されているエボラウイルスは5種類、発生した場所によって次に様に識別されている:
Bundibugyo (BDBV), Zaire (EBOV), Sudán (SUDV), Reston (RESTV) y Tai Forest (TAFV)。 1976年、最初のエボラ出血熱の出現が確認されたのがにコンゴ民主共和国のエボラ川付近だったことからこう呼ばれる。
現在、西アフリカで発生しているエボラは致死率が50%を下回るもので、過去に発生したエボラの中では比較的致死率は低いものである。

現在までに出現した主なエボラ出血熱感染症の概要
(リスト最上段のスペイン語部分の和訳は次の通り)
年度  国   ウイルスの種類   発症者数  死亡者数  致死率


エボラ出血熱の主な症状 Síntomas de la enfermedad
http://infoebola.gob.es/2014/10/12/sintomas-de-la-enfermedad/
発症初期に現れる症状:
* 高熱(37.7度以上)
* 頭痛
* 関節痛や筋肉痛、疲労
* 胃痛
* 下痢
* 嘔吐
* 食欲不振
* 異常出血
これらの症状が現れ、エボラウイルスに感染し発症した人と接した可能性に心当たりがある場合は、速やかに112(日本の119に相当)に電話をすること。
発症後、4〜5日で現れる症状:
* 腎臓や肝臓の機能不全
* 斑点状丘疹
* 体内外の大量出血
潜伏期間:ウイルスに接触してから2〜21日。2〜12日の間に発症する確率が高い。
病状進行は患者の免疫力に拠って異なる。発症後2週間目が峠となり、ウイルスが増え続けて多臓器不全が起こり死亡に至るか、あるいはウイルスが減少し回復に向かう。
エボラの場合、HIVC型肝炎とは異なり、一旦回復した患者の体内にエボラウイルスは残らない。



エボラに感染しているかどうかの診断方法 Diagnóstico del Ébola
http://infoebola.gob.es/2014/10/11/diagnostico-del-ebola/

エボラウイルスに感染しているかどうかは、症状が現れてからでないと診断できない。
初期症状が現れた時点で、まず同様の症状を呈する他の病気の可能性を排除していくこと。
別の病気の可能性が排除された時点で、採血を行い、血液を専門のセンター(スペインの場合はカルロス3世病院内にある国立細菌学研究所)へ送り、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)と呼ばれる検査を行う。この検査によって24時間後にエボラウイルスの陽性か陰性かが判明する。この検査をエボラテストとも呼ぶ。
偽陰性の可能性を排除するため、次のような場合には72時間後に2回目の検査を実施する。
* 既に発症している患者と直接接触した可能性のある人、高リスクのケース(★)。
* 72時間以内にエボラ感染地域からスペインに入国した人。
* 症状が軽い場合。
ウイルスに感染していても症状が発現していない人の場合、検査を実施しても結果は陰性となるので、検査後に症状が現れた場合は、新たに検査をする必要がある。
★高リスクのケースとは:既に発症している患者、あるいは患者の血液、尿、体液などの付いた衣服、シーツ類その他の素材、あるいはエボラに感染して亡くなった人の遺体に、防護装備なしに直接接触した場合。



感染経路 Transmisión


エボラはどのように感染するか? ¿ Cómo se contagia ?
http://infoebola.gob.es/2014/10/12/como-se-contagia/
エボラウイルスの感染リスクは低い。
ウイルスの感染は下記のものとの直接接触によって、目・鼻・口などの粘膜や皮膚の傷口などを介して起こる。
* 既に発症している患者または感染症によって亡くなった人の血液や体から分泌される液体、身体の組織や臓器。体からの分泌物の内、最も感染リスクの高いものは、血液、吐瀉物、排泄物(尿、便)である。
* 患者の体から分泌された液体によって汚染された物品。
エボラウイルスに感染している動物およびその死体の臓器、血液、身体からの分泌物。
性行為による感染:精液中のウイルスは発症後61日間生存し続けるため、発症した時点から病状回復後数週間後まで、性行為によるウイルス感染のリスクがある。WHOでは、エボラ出血熱に感染し、回復した男性は回復後3か月間は性交渉を持たないよう推奨している。


エボラウイルスが生き残る可能性 “Supervivencia” del virus
液体中あるいは固体表面で数日間生き続けることが可能だが、次の方法で不活性化することができる:
次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)や過酸化水素やビルコンなどの消毒薬。
* 紫外線およびガンマ線の照射。
* 摂氏60度で30分間熱する。
* 5分間の沸騰消毒。
★冷凍あるいや低温冷蔵ではウイルスは不活性化できない。


公共スペースでエボラに感染する可能性 ¿ Puede Ud.infectarse con Ébola en lugares públicos ?
バスや電車など公共交通機関、航空機、病院、レストラン、トイレなど公共スペースにおいてエボラウイルスに感染する可能性は非常に低く、限りなくゼロに近い。
エボラウイルスは、症状が現れている人の血液や吐瀉物などに触れた場合にのみ感染の可能性があるので、そのような特殊な場面に遭遇しない限り、公共スペースにおいての感染リスクは極めて低い。
エボラに感染した人と同じ飛行機に乗った場合、何らかのリスクがあると判断されるのは患者の近くの席に座った乗客に限られるが、それら乗客の場合も感染の可能性は極めて低いと考えられる。
しかしながら、エボラの症状を発症している人と接触した可能性がある場合は、速やかに112番に電話して相談することを推奨する。



エボラは次のような経路では感染しない!¿Cómo NO se contagia ?
* 水を介しては感染しない。
* 食物を介しては感染しない(但し、EU規定で認められていない動物の肉は食さないことを推奨する)
* 空気を介しては感染しない。
エボラウイルス保有していても発症していない人からは感染しない。
エボラ出血熱を発症し、それを乗り越えて回復した人からは感染しない。
エボラは、HIVC型肝炎とは異なり、感染症を乗り越えて回復した人の体内にはウイルスは一切残らない。但し、精液中のウイルスは発症後61日間生き続けるので、WHOでは回復後3か月間は性交渉を避けるよう推奨している。



スペインにおけるエボラ出血熱感染状況 Ébola en España
http://infoebola.gob.es/2014/10/12/situacion-de-los-casos-en-espana/
1)アフリカ西部のエボラ発生地域において発症した患者をスペインへ移送したケース2件。
8月7日リベリアから空路移送されマドリッドカルロス3世病院(感染症対応専門病棟)に収容された宣教師(現地でエボラ患者の看護護活動を行っていた宗教団体の医療関係者)は5日後8月12日に死亡。
9月22日シェラ・レオナから空路移送されマドリッドカルロス3世病院(感染症対応専門病棟)に収容された宣教師(現地でエボラ患者の看護活動を行っていた宗教団体の医療関係者)は9月25日に死亡。
2)二次感染によって発症したケース 1件
●上記1)の2件の治療に当たった特別医療チーム(約30名ほど)に属した準看護師テレサ・ロメロさんが9月30日から何らかの症状が見られ、10月6日にカルロス3世病院(感染症対応専門病棟)に収容された。
●この女性が発症してから病院に収容されるまでに接触したと見られる「高リスク接触者」15名はエボラの症状は発症していないが、同病院の特別管理病棟に収容され経過観察が行われている。
●その他、「低リスク接触者」は病院内に収容されていないが、医療当局の管理の下、潜伏期間21日間が終わるまで体温測定や体調のようすを観察し、体温が37.7度を超えた場合は速やかにカルロス3世病院に収容される。


エボラ対策特別委員会では、毎日スペインにおけるエボラ感染症患者の状況をリアルタイムでアップしている。
最新更新:10月17日(金)14h17
カルロス3世病院に収容されている患者の様子
1)エボラウイルス検査で陽性の患者(1名)
(陽性患者収容・治療検査病棟)
病状:安定している。
2)高リスク接触者(15名)
(高リスク接触者管理監視病棟)
収容されている15名の内、エボラの症状が現れている患者は出ていない。
3)低リスク接触者(68名)
病院に収容されていないが医療当局管理下で経過観察にあった68名の内の1名が、規定の37.7度を超える発熱によって10月16日に病院に収容され、治療検査対象者として採血されPCR検査(エボラテスト)を実施。一回目の検査結果は陰性だったが、72時間後に再度検査が行われる。
その他の67名は現在まで、一切症状は現れていない。
4)治療検査対象者(4名)
1.上記3)の68名の内の1名
2.10月16日ナイジェリアからパリ経由で空路マドリッドに着いた乗客。エボラの疑いのある症状でカルロス3世病院に収容された。一回目のPCR検査は陰性の結果が出たが、72時間後に再度検査が行われる。
3.10月17日早朝、リベリアにて布教活動をし、数日前にスペインに帰国していた宣教師がエボラの疑いのある症状により収容された。一回目のPCRは陰性の結果が出たが、72時間後に再度検査が行われる。
4.10月16日、カナリア諸島テネリーフェにおいて、シェラ・レオナにて医療活動に従事し、最近帰国していた赤十字の看護師がエボラの疑いのある症状で病院に収容された。一回目のPCRは陰性の結果が出たが、72時間後に再度検査が行われる。 

世界におけるエボラ出血熱感染状況 Ébola en el mundo
http://infoebola.gob.es/2014/10/11/brotes-de-ebola-en-el-mundo/
WHOでは現時点で今回のエボラ出血熱感染に2つの異なるカテゴリーを定めており、感染率が高くすでに8300を超える発症者数を出している西アフリカ3国(ギネア、シエラ・レオナ、リベリア)と限定的な極少数の感染が見られる諸国(発症数20件のナイジェリア、発症数2件の米国、発症数1件のスペイン)とを識別している。
図式内の単語翻訳
感染患者の状況:
■ Recuperado  回復済み
▲ En Tratamiento  治療中
● Defuncion   死亡
FECHA DE LLEGADA  その国へ到着した日付
国名;
ALEMANIA  ドイツ
ESPAÑA    スペイン
EE.UU 米国
FRANCIA フランス
NORUEGA ノルウェー
REINO UNIDO イギリス
患者:
Médico  医師
Trabajador médico de ONU 国連の医療関係者
Misionero  宣教師
Auxiliar de enfermería  準看護師
Cooperante  ボランティア活動家
Visitante  訪問者
Cámara  カメラマン
Trabajador del hospital  病院職員
Enfermera  看護師

**

また、おいおい、記事を書いて参ります。