ルーシーママのスペイン便り

ルーシーは2009年にマドリッドに近い村で生まれたトイプードル、ママはえらい昔、日本に生まれ、長い間スペインに住んでるおばはんです。

東北地方太平洋沖大地震

3月14日(月)

今回の地震、発生時からほぼリアルタイムでスペインの国営放送でも「Breaking News」として扱われ、その後もNHK Worldの映像が画面右下の小窓で常に流れています。
スペインの最大紙El Paisは土曜日には1ページから10ページまで全てこの大地震の報道で埋められ、日曜日もトップ面から13ページがこの記事でした。
また、週末のスペインのサッカーリーグの試合開始前には地震で亡くなった方たちのための黙祷が捧げられました。

インターネットのおかげで、こちらに居てもリアルタイムでTBSの特別報道番組やらNHKのニュースやらを見ることができます。
金曜のM9.0の地震の後も、太平洋沿岸および長野北や新潟(フォッサマグナの上)で夥しい数の余震がありましたよね。日本から遠く離れたこのスペインで、あの地震予報(XXで地震が発生しました、数分後にXX地方に揺れが来ます・・・旨の情報)のアラームがなるたびにドキドキして画面を見てました。新潟は震度6の余震と震度5の余震が土曜朝方にあり、雪崩の被害が出たと聞いて心配しました。固定電話も携帯電話も通じない状態でしたが、日本時間の日曜朝にようやく実家の弟の携帯が通じて、大きな被害はないことが解かり安心した次第です。

耐震対策では世界一のレベルにあった日本、でも近海のそれも浅い震源が生み出した津波のエネルギーは誰にも想像できない破壊力を持っていたのですね。報道される映像を見るたび、とても現実とは思えません。自然の威力というよりも、神様が天罰を下しているとしか思えません。夥しい数の人たちが一瞬にして全てを失い、命までも失っていると思うと、映像を見るたびに涙がでそうになります。何万という人々の冥福を祈ります。
そして生き延びた人たちにも大きな試練が待っていますよね。私の実家も中越地震の際、家が半壊して両親は一時避難所に居たことがあります。寒さの中、温かい食事もままならず、飲み水や毛布も不足していると聞くと、本当に気の毒でなりません。ここからでは募金ぐらいしかできることはないですが、一刻も早く救済活動が進み、復興と正常化への道が開けることを祈ります。
 
大きな被害を受けた地域にあって運転休止している原子力発電所はほとんどが東京電力の経営で、当然首都圏の電力が足りなくなりますよね。柏崎地震の時も柏崎原発で火災が発生して運転停止してしまい、首都圏の電力が不足して冷房が規制されたのを覚えていますが、今回はその程度の不足ではなくもっと抜本的な対策を必要としているのでしょうね。計画停電は全てのレベルで市民生活に影響してくるでしょうし、経済活動への影響も未曾有のものになるのでしょうから、日本経済への打撃は計り知れないものがあるでしょうね。

こちらのニュースや報道番組でも今回の地震による日本経済への影響ということが多く語られています。TVや新聞で、統率力を欠く短命内閣が次々と変わる日本で政府の代わりに日本経済を牽引してきた大企業も金融危機・経済危機で体力をなくし、GDP世界2位の地位を中国に奪われた日本は、この地震の打撃によってさらにその地位を落としていくだろう・・・というようなコメントが聞こえるたびに、一日本人としてやはり悲しい気持ちになります。

同時に原子力発電の世界的モデルとされる日本で起こっている福島原発の危機はこちらのメディアもすごい関心を持って見守っています。こちらでは、チェルノビルに次いで史上2番目の原子力事故と報道されています。一刻も早く原子炉内の圧力が下がってくれるといいのですが。

もうひとつ世界中の人々が驚嘆していること、それはこれほどの大惨事にも拘わらず、掠奪や暴動が起こらないということ。日本人の忍耐と自らを律する理性というものが浮き彫りになっています。これは日本人の美徳と呼べるのではないでしょうか。
数年前、ローマ近郊のラクラで大きな地震があった際、GDP世界7位、先進国イタリアのそれも首都ローマ近くの国際的学生都市にも拘わらず、地震の被害にまぎれて夥しい掠奪があり、ショックを受けたことを覚えています。神戸地震の時も同じことが言われましたが、今回も世界の人たちが日本人の忍耐と理性に感心しています。

スペイン人は災害などがあると、本当に親身なって心配します。そして、自分に何ができるかと考えて即行動します。
今回も、スペイン人の友人知人からたくさん電話をもらいましたが、誰もがあまりに大きな驚きと恐怖、そして悲しみを共有してくれます。そして日本の耐震対策は素晴らしいし、大きな災害に見舞われた時の日本人の忍耐と自制心は凄いと言います。

日本はもう二度と3月11日以前の日本には戻れないだんろうなぁと、遠くスペインから見ているからこそ、暗澹とした気持ちになって来ます。そして「かんばれ、日本!」と祈らずにはいられません。