ルーシーママのスペイン便り

ルーシーは2009年にマドリッドに近い村で生まれたトイプードル、ママはえらい昔、日本に生まれ、長い間スペインに住んでるおばはんです。

コロナ禍を政権争いに利用するのは止めて!

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前回の記事に書いたように、9月21日(月)からマドリッド州にある医療ゾーンの内、37地区でロックダウンが始まりました。しかし、危惧した通り、記事内でも挙げたような理由から、実際的な効果はほとんど得られていない模様。そして、これら37ゾーンだけでなく、マドリッド全体で感染状況は刻々と悪化しています。

去る21日(月)にマドリッド州のディアス・アジュソ知事と中央政府のサンチェス首相が、その政治的相違を一旦脇に置いて、マドリッドにおけるさらなるコロナ悪化を防ぐために会談し、州政府と中央政府の合同コロナ対策グループを立ち上げるという結論を得て、23日(水)には早速、合同対策チームの初会合が持たれて緊急かつ具体的対策を練った、はずだったのに・・・・・・

25日(金)中央政府厚生大臣と、マドリッド州政府の厚生課責任者が別々に記者会見を行い、その内容がまったく違う!イジャ厚生相は10万人当たりの感染者数が500名以上のゾーンは外出・移動規制の対象とすべきという専門家の意見に基づき、ロックダウン対象をマドリッド州全域に広げるべきと主張する一方で、マドリッド州政府はロックダウン対象は10万人当たりの感染者数が1000名を超える地域に限るとし、既に月曜から規制が実施されている37ゾーンに加えて、来週月曜から新たに8つのゾーンをロックダウンの対象に加えると発表。

そして、ディアス・アジュソ知事は中央政府厚生大臣が州全体をロックダウン対象にすべきと述べたことに対し 「中央政府マドリッド州を差別・敵視している」 と、またまた政治的な発言をし、彼女を知事に押し上げた民衆党のカサド党首も中央政府のコロナ対応を批判。マドリッド州民としては、コロナのリスクに危機感を感じると同時に、州政府のコロナ政策における計画性の欠如やら、政党がコロナ禍を政権争いの道具にしていることやらに、暗澹たる気分に陥ってしまいます。

我が家はこれらのゾーンのひとつにありますが、実際、地図上の限界ラインを越えて買い物に行ったり、公共交通機関を利用したりする際に、現時点ではまったく何のコントロールも見られません。完全に州民の良心と自粛に頼っている状況です。田舎の村などではなく、大都市の一区画をそこだけロックダウンするというのは、絵に描いた餅としか思えません。

自治州政府はこれらのゾーンからの出入りをコントロールするためとして、中央政府に対して国家警察(内務省に所属)、治安警備隊(防衛省に所属)および緊急災害救助部隊(防衛省に所属)の出動を要請すると共に、医療現場の逼迫を解消するために、マドリッド州以外の自治州の公共医療サービスに属する医師や看護師のマドリッドへの派遣を可能にするための緊急な法整備も要請しているようです。今、州民として、つくづく思います、こうしてお尻に火がついてから右往左往するのではなく、なぜ医療現場の声を聞いて第一波の後で医師や看護師の数を増やし、感染追跡サービスを整備して来なかったのか?!と。

 

おしまい。