ルーシーママのスペイン便り

ルーシーは2009年にマドリッドに近い村で生まれたトイプードル、ママはえらい昔、日本に生まれ、長い間スペインに住んでるおばはんです。

24M統一地方選挙、スペインが変わる?!

5月といえば、やはりバラ。
公園や庭園にのバラが本当に綺麗です。

さて、先週の日曜日、5月24日にスペインの統一地方選挙が行われました。

全体の得票数ではやはり現与党のPP(民衆党)が一番でしたが、前回、2011年の選挙では自治州、市町村共にほぼすべての地域でPPが絶対過半数を取得していたことと比較すると、スペイン国民の民意が顕著に反映された結果となりました。PP(民衆党)とPSOE(社会党)30年近く続いてきた二大政党政治とそこにはびこった汚職体制、国民のためではく大企業や既得権所有者の利益を優先した緊縮財政、そういったものに対する一般市民の怒りが15M運動やPlataforma Afectado por Hipotecaなどという具体的な市民運動となって現れ、それらの運動から新しい政党が生まれ、今回の選挙で初めて候補者を擁立した州や市町村が多々ありました。

これらの新しい政党が単独で政権を得ることはありませんでしたが、既得権の上に胡坐をかいていた二大政党を政権の座から引きずり下ろすには十分な結果が出ました。
選挙で、各自治州議会や市町村議会の議席数は各政党の得票数に比例して割り当てられ、議席過半数の賛成を獲得した政党の代表リストのナンバーワン(自治州知事候補および市町村長候補)が知事および市町村長となる訳ですが(日本のような知事選や市長選はないので)、今回は単独政党で議席過半数を獲得できるところは皆無、政権を取るには連立が不可欠となりました。選挙から今日で3日目、各政党とも連立のための駆け引きや交渉の真っ最中というところでしょうか。

特に注目は、マドリッドバルセロナバレンシアのスペインで最も重要な3都市での結果。マドリッドは、ほぼまちがいなく、PodemosとGanemosの共同戦線Ahora
Madridという政治プラットフォームで擁立した無所属候補の元裁判官、Manuela Carmenaj氏が、社会党との連立で市長に選出されると見られています。24年間、保守PPの牙城だったマドリッドに左派政権誕生です。

バルセロナ保守系民族政党Ciuに代わり、市民の草の根運動とも言えるPlataforma Afectado por Hipotecaを率いてきたAda Colau氏が社会党や左派系民族政党との連立によって市長に選出されることがほぼ確定、こちらも左派政権の誕生。

バレンシア自治州も市も24年前から、PPの独壇場でしたが、グルテル事件やバルセナス事件、ノオス事件など、とにかくPP=汚職と言えるほど、全てが汚職まみれの体勢が崩れ落ちました。Compromisという、これも市民の草の根運動からスタートした団体が擁立した候補がPPに次ぐ得票数を獲得、24年間バレンシア市長を務めてきたRita Barbera氏は頭を下げて連立を模索するか、潔く去るかという苦境にあるはず。

どうせなにも変わらない・・・・そう思っていた国民が、今は何かが起こるかも、と感じているのは確かです。 新しい政党に対して過度の期待や楽観視はしていませんが、腐敗した政治家にやりたい放題させてはいけない、自分たちが動けば何かがかわるということを身を持って感じているのではないでしょうか。

この秋に行われる総選挙も、新しい流れの中にありそうです。